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Three chords and a cloud of dust ...

バロウズ・デビュー


裸のランチ (河出文庫)
手を出すか出すまいか迷っていたウィリアム・バロウズ。
内容はだいたい想像がついていたので、ようやく思い切った。

読んでみると最初こそ全部読めるか不安になったものの、結局はおもしろかった。
ストーリー性の薄い、エピソードや言葉を切り嵌めした手法は一見取っ付きにくいが、登場人物が共通しているためか次第に登場人物に対する興味や親近感が湧いてくるから不思議だ。
決して親近感が湧くようなまともな人物は出てこないし、あくまでドラッグや同性愛を通じた人間の醜さや弱さが繰り返し繰り返し描かれる物語なだけに不快感しか感じない読者もいるだろう。
私は「プリーズ・キル・ミー」で不快感には免疫が出来ていたし、難敵に対する挑戦心みたいなものもあって気合で読んでいるうちに理解を拒むような手法にも慣れて続きが楽しみになってきた。
ドラッグをやった人間にしか見ることのできない仮想世界と言ってもいいような世界と現実がごちゃ混ぜになっていて、薬物中毒者の頭の中を表現するとこんな世界になるのだろうかと何度も思った。
原文を読んだわけではないので訳が雰囲気に合っているのかどうかわからないが、時折垣間見る芸術的な表現には美しさすら感じる。

ストーリー仕立てっぽい造りの「ホセリト」「ハウザーとオブライエン」あたりは読みやすい。
それにしてもマッド・サイエンティストであり悪魔的でもある驚異の人物・ベンウェイ医師にはモデルがいるのだろうか。
ウィリアム・リーがバロウズ自身というのは解説を読むまでまるで気がつかなかったが。
害虫駆除業者というのもバロウズなのだろう。

時代的な古さもあってドラッグに対する認識や知識は誤りもあり、すでに行われていない治療法も紹介されているのですべてを真に受けてはならない。
それにしてもヘロインがほとんど出てこないのはまだ当時ヘロインは新しい存在だったのか。
やたらアヘンが出てくるあたりもそれを感じさせる。
バロウズはLSDにも否定的に見える。

好き嫌い以前に読む人を選ぶ作家ではあるが、人間のしぶとい生命力みたいなものを感じて私は好ましく思えた。
「ジャンキー」が見つかったらこちらも読んでみたい。

  1. 2012/08/11(土) 21:44:44|
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Author:正親町さるる
IGGY POPや1960~70年代のアメリカ・ミシガン州のROCKが大好きです。
USガレージ・パンク、ガレージ・サイケにもハマってます。
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