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Three chords and a cloud of dust ...

Rusty Day そして David Gilbert

B000PHW1XCCactus (Reis)
Cactus
Wounded Bird Records 2007-07-17

by G-Tools
前から聴きたかったCactusをようやく入手。1970年リリースの1stアルバムだ。
これは渋カッコイイ!ブルージーでハードな音は、ひたすらワイルドで男クサイ。メンバーの見た目もワイルド。正直言ってむさ苦しい。そして演奏力は高い。上手い。曲そのものは泥臭くて地味といえば地味なのだが、この泥臭さがアメリカらしくていい。アメリカのロックのルーツを感じるような、そんな音。パワフルで技巧派のCarmine Appice、Tim Bogertのリズム隊にヴォーカルとギターのデトロイト勢が対等に渡り合い、迫力と小気味いい緊張感に満ちた快作だ。
CactusといえばCarmine AppiceとTim BogertのVanilla Fudge出身組が話題の中心になりがちだが、やはり私はデトロイト出身組の話をしたい。

Cactusの初代ヴォーカリストはデトロイト出身のRusty Day。これがプルースフィーリング溢れるいいヴォーカリストなのだが、破壊的な人生を送った人らしい。
デトロイトでは1968年にThe Amboy Dukesに参加。オリジナルメンバーであったJohn Drakeの後任となったが、Rusty自身のバンドThe Midnigtersでの活動を選び、The Amboy Dukesの3rdアルバム「Migration」に参加しただけでバンドを去った。この後のCactusと聴き比べてみるとThe Amboy DukesのRustyはまだ声も若く初々しく、あまりに曲にTed Nugent色が強くRustyの個性が表面に出て来ていない印象がある。
本来もっとブルージーなロックンロールが好きな人なのだと思う。ブルースハープも上手い。Rusty Dayというのはステージネームだろうが、これまたカッコイイ。Rustyは直訳すると‘錆び付いた’という意味だが、この通りではないにしろ言葉の響きがいい。
Cactusを辞めてからは、Mitch Ryder & The Detroit WheelsのメンバーであるJohnny'Bee'Badanjek(D)がThe Detroit Wheelsの後継バンドであるDetroitの分家のような形で始めたバンド(これも‘Detroit’という名前で紛らわしい。Badanjekは‘Detroit Wheels’というバンド活動をしていたこともある)に加わったが、このバンドは長続きしなかったようだ。その後は、AC/DCからBon Scottの後任の打診もあったもののそれを断り、自身で起こしたバンドを続けていたが、ドラッグを使用するばかりでなくドラッグを商うようになり、それが元のトラブルで射殺されてしまう。11歳の息子も巻き込まれて死亡、Rusty自身もまだ36歳だった。

Cactusのギタリストはこれまたデトロイト出身のJim McCarty。ブルースロックを得意とする人で、Mitch Ryder & The Detroit Wheelsのリードギタリストだった。音楽的な確執があったCactusを去ってからは1972年にJohnny'Bee'BadanjekとThe Rocketsを結成。1983年頃までデトロイトを中心に活動しヒット曲もあったようだ。その後、Detroit Blues Band、Mystery Trainなどの活動を経て、2006年にはCactusの再結成を果たした。現在は再びJohnny'Bee'BadanjekとThe Hell Driversというバンドを作り、The Rocketsの曲ばかりでなくIggy Pop、Mitch Ryder、Bob Segerといったデトロイト・ロック・レジェンドの曲を精力的に演奏している。
B001TKP5OGRockets & No Ballads
Rockets
Renaissance 2009-05-19

by G-Tools

そして、もう一人のダメ男がThe RocketsのヴォーカリストだったDavid Gilbert。

この人もRusty Day同様、実力のあるヴォーカリストでありながらドラッグや酒でトラブルを巻き起こした人物。最初この名前を見た時「New Orderのヴォーカルと同じ人だろうか?」と気付き調べてみたところ、どうやらRon AshetonのバンドNew Orderの2代目ヴォーカリストDave Gilbertその人のようだ。
DavidはJim McCartyたちよりは5歳ほど若く、1971年には若干20歳にしてTed Nugent & The Amboy Dukesのヴォーカルとなる。しかし、この頃すでにドラッグや酒の問題を抱えておりTedはすぐに彼を首にしてしまった。その後はThe Shadowというバンドにいたという記録もあるが詳しいことはわからない。
そして76年にNew Orderへ。このバンドはThe Stooges解散後の74年にRonがロサンゼルスで結成したバンドで、Davidは初代ヴォーカルのJeff Spryが飲酒運転やドラッグの問題で首になった後釜となったわけだが、やはりドラッグ癖のひどかったDavidが大手マーキュリー・レコードとの契約のチャンスをつぶしてしまった。もちろん即刻クビ。New Orderもこの年の10月に解散している。

New Orderのデモ音源を聴く限りではDavidの声は線が細くパンチもなく少々物足りない。ただ、この人もデトロイトの爆音ロックの中にいたわけで実際はもっとパワフルな歌い手だったようだ。事実、The Rocketsは彼のヴォーカルをバンドに必要なものと考え、トラブルを覚悟の上でバンドに迎えた。メンバー間の摩擦はもちろんあっただろうが、結果的にはDavidは5年以上もこのバンドのフロントマンとして活動していた。彼が続けられた理由にはメンバーの忍耐とバンドがそこそこ成功したことが大きいのだろう。
YouTubeにはThe Rocketsのテレビ出演らしき映像がある。Davidは柄こそ小さいが歌も上手いし、なかなかチャーミングだ。ロックスターとしての素質は充分あったと思われる。The Rockets解散後は目立った活動もなく2001年に亡くなっている。
dave g
Rusty DayそしてDavid Gilbert、ともにアメリカを代表とするロックスターとなるTed Nugentにその才能を見込まれドラッグ問題を抱えつつもメジャーバンドに在籍したあたり、いかにもダメダメなロックシンガーらしくてかえって好感を持ってしまう。パワフルで荒々しくも意外と正統派だったりするところもデトロイトのミュージシャンらしくて良い。彼らの歌声がいつまでもこの世界に存在することを願ってやまない。

B000VXPNW6ヴィクテム・オブ・サーカムスタンス
ロン・アシュトンズ・ニュー・オーダー
ヴィヴィド・サウンド 2007-11-21

by G-Tools


  1. 2010/05/12(水) 22:57:39|
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Author:正親町さるる
IGGY POPや1960~70年代のアメリカ・ミシガン州のROCKが大好きです。
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